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テクスチュアの復権  (建築ジャーナル 2008年1月号)  Jan 01, 2008

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工業化が建築にもたらした均質な仕上げ。
施工技術のマニュアル化は、熟練を要せずにそれをある精度で現場にも再現させる。
白く滑らかで、無機質な空間が量産され、モダンデザインと共に世を席巻した…のは、
前世紀の昔話だったろうか。

サルバドール・ダリは、ル・コルビジュエに向かい「未来の建築は柔らかく
毛深いものになる。」といった。
それは、テクスチュア復権の予言だった。
しかし経済合理主義は、インターナショナルスタイルの合理性のみを採択し、
建築を経済の道具に変えてそれを反復量産し、ついにリージョナリティを追放した。
ここ日本においては、特別深刻に。

21世紀。
今こそモダンデザインは毛深くなれないだろうか、と我々は考えている。
日本には高度な職人の技術があった。それらに支えられた建築の造形があり、
手触りがあった。それらを、現代の建築空間に引き継ぎたい。
新しい技術やデザインとのフュージョンで、新しい日本の空間とディティールをつくりたい。
いかにコンピュータのシュミレーションが高度化しようとも、
建築は手でつくられるものと信じたい。

生の肉体が入る器としての生の空間には、
やはり、手の感覚(テクスチュア)を取り戻すべきなのだ。


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