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ベルリンから戻りました。Sep 23, 2007

前にお知らせしたベルリンでの展示から、無事にセッティングとオープニングを終えて戻って参りました。

短い期間の中でロンドンとベルリンを周り、12年ぶりに立ち寄ったロンドンでは、経済の好況に支えられた街の変化を体感。
アジアパシフィックウィーク開催中のベルリンでは、ヨーロッパに於けるアジアの位置を再認識すると共に、
アジアというアイデンティティが、アート/デザイン分野で果たし得る可能性を感じることが出来た有意義な体験となりました。

本展示の企画をしたDMYは設立されてからまだ若く、ベルリンのユースカチャーのエネルギーがそのまま形になったような組織で、
国の境が曖昧になりつつある欧州の人的交流を延長する感覚で、積極的に対外的な活動を展開しています。
(彼ら自身、昨年は東京のコンテナグラウンドで、今年はソウルのデザインフェスティバルでプレゼンテーションの場を持つ。)
彼らのオフィスは、クロイツベルグという地区の中、かの「壁」の近隣であった為に開発が立ち後れた運河のほとりに位置し、
かつて大きな製造工場だった廃墟を改造した建物を、現在では、アーティスト、デザイナー、建築家たちが
アトリエ・コンプレックスとして再活用している、その一角にあります。そこは羨望を禁じ得ないクリエイティブな環境でした。

ギャラリーは、そのクロイツベルグとミッテの境に位置するヴァルシュトラーセ(英語では wall street)沿いに位置しています。
9月13日オープニングを迎えた、デザインクラスター<アジア>と題された展示は、約500平米のギャラリー空間の中、
出展した各都市の地図上の位置関係を模して設えられた展示台に載せて、一堂にプレゼンテーションされました。
DMYの尽力でオープニングパーティには多くの来場者があり、この展示に対する関心の高さを確認できた事は大きな収穫でした。

本展示の企画の中心は、東アジアという一つのクラスターにおけるデザインが、
欧州のデザインに対してどのような関係を持つのかを俯瞰しつつ、
クラスターの中の各都市(国)のアイデンティティがどこにあるのかを明らかにすることを意図したもの。
実際にどうであったかは、少ないサンプルに対する私感でしか言えませんが、
デザインのレベルでいうと、各都市の間には明らかな差がなくなってきているように感じました。しかしながら、
やはり朧げな傾向は現れるもので、上海と香港はポップ、キッチュなテイストが多く、ソウルはスタイリッシュなものが好まれ、
東京はユーモア若しくはインテリジェンスのあるデザインへの傾向が強いように感じられました。

インターネット接続が常態化し情報取得の早さに差がなくなり、さらに情報発信が双方向化した今日、
もはや、地域差によるデザインの先進性などというものは消滅しました。
むしろ地域の消費社会の成熟度(ニーズ)と、伝統や文化に対する再解釈、あるいはその咀嚼と消化によって確立される
新たなアイデンティティ(シーズ)が、現在からのデザインにはより重要になることでしょう。
自分自身、今回の経験を通じて、特に「ベルリンという外部から東アジアという内部へ」の視線を持つ事によって
改めて感じられたいくつかの事は、今後の創作活動にとっても良き糧となる事は間違いありません。

今回の機会を与えて下さった DMY Berlin には、改めてお礼を申し上げます。
Joerg, Heike and everybody in Berlin! Thank you so much for everything!!


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