都心の一等地の車2台分余りの小さな敷地。
小さいながら、ビルの谷を穿ち、力強く大地と空を結んでいる、そんな場所に
友人である花美術家とその家族のための「塔」を建てている。
塔は、創作の拠点であり、発信の場であり、安息の居所となることが求められている。
敷地いっぱいに根を張り、天に伸び上がる、コンクリートの甲殻が、
ついに内部の支保工を外し、その全貌を顕にした。
機能を求める床としては極限まで小さく、また塔状であるが故に、
その空間はまさに階段で成り立っている。
そう、これ(階段)しかない。しかし、それが全てを顕わすようなものであるならば、
それでいい。